定理
以下の1, 2のいずれかが成立するとする。
1
1.1 $f(x, \omega)$が$K(\omega)$-リプシッツ連続であり、$\mathbb{E}[K(\omega)]$が有界である。
1.2 $f(x)$が確率1で、$x = x_0$の点で方向微分可能である。
2 関数 $f(x)$ が確率 1で凸であるとする。
この時、$F(x) := \mathbb{E}[f(x, \omega)]$ は、$x = x_0 \in D$ において方向微分可能であり、$F'(x_0, d) = \mathbb{E}[f'(x_0, d)]$となる。
不明点
- 単調減少列に対して、単調収束定理を用いている点。
- 関数$f$が絶対可積分という条件が証明中に登場すること。(関数に対する仮定ならば、定理に含めるべきだと思われる。)
証明
単調減少列 $t_n \to +0$に対して、関数列 $\psi_n = \psi_n(\omega) = t_n^{-1} [f(x_0 + t_n d, \omega) - f(x_0, \omega)]$を考える。
(1が成立する場合)
仮定より$\psi_n(\omega) \le K(\omega)$で$\mathbb{E}[K(\omega)]$が有界であり、方向微分が存在することから、ルベーグの優収束定理が成立する。よって、積分と極限を入れ替えて良く、示された。
(2が成立する場合。ただし一部理解できなかった)
関数$f$が凸関数であることより、その劣微分$g$を用いて$\psi_n \ge \langle g, d \rangle$となる。また、凸関数という条件より得られる$f(\lambda x_0 + (1- \lambda) (x_0 + t_n d), \omega) \le \lambda f(x_0, \omega) + (1 - \lambda) f(x_0 + t_n d, \omega)$の両辺から$f(x_0, \omega)$を引くことで、$\psi_n$が単調減少な関数であることがわかる。よって、全ての$\omega$に対して$\psi_n \to f'(x_0,d)$となる。
この$\psi_n$に対して単調収束定理が適用できるため、
が成立する。したがって、$F'(x_0, d)$