Corollary 3.4.1(Rockafellar 1970)

定理

凸集合$C$を部分空間$L$へ直交射影して得られる集合は凸集合である。

方針

直行射影が線形変換であることを証明し、Theorem 3.4(Rockafellar 1970)を適用する。 ただし、証明が長くなるため直行射影定理や直行分解の性質は既知として進める。

証明

$L$への直行射影を$P_L \colon \mathbb{R}^{n} \supset C \rightarrow L \subset \mathbb{R}^{m}$と表記し、$x, y \in C$および$\alpha, \beta \in \mathbb{R}$を定義する。 また、$C, L$は実数空間上で定義されているため内積に関して完備である。 まず$P_L$が線形変換であることを証明する。

$L$が部分空間であることから、$\alpha P_L(x), \beta P_L(y) \in L$となり、$\alpha P_L(x) + \beta P_L(y) \in L$である。また直行射影定理より、$x - P_L(x), y - P_L(y) \in L^{\perp}$となる。$L^{\perp} = \lbrace x \in \mathbb{R}^{m} \mid \langle x, y \rangle = 0, \forall y \in L \rbrace$は明らかにスカラー倍と加法について閉じているため部分空間であることから、$\alpha \big(x - P_L(x)\big) + \beta \big(y - P_L(y)\big) \in L^{\perp}$である。

直行分解の性質より、$x = P_L(x) + \big( x - P_L(x) \big), y = P_L(y) + \big( y - P_L(y) \big)$と直行分解できる。組み合わせることで$\alpha x + \beta y = \big( \alpha P_L(x) + \beta P_L(y) \big) + \big( \alpha x - \alpha P_L(x) + \beta y - \beta P_L(y) \big)$となる。
また直接直行分解を考えると、$\alpha x + \beta y = \big( P_L(\alpha x + \beta y) \big) + \big( \alpha x + \beta y - P_L(\alpha x + \beta y) \big)$となる。したがって直行分解の一意性より、$\alpha P_L(x) + \beta P_L(y) = P_L(\alpha x + \beta y)$が導かれ、直行射影は線形変換であることが示された。

よってTheorem 3.4(Rockafellar 1970)より、$C$が凸集合であることから、直行射影により得られる部分空間上の集合は凸集合である。

参考文献

Tyrrell Rockafellar, R, 1970 p18