定理
ある $\mathbb{R}^n$ の部分集合が凸錐であるための必要十分条件は、その部分集合がその要素の全ての正の線形結合を含むことである。
方針
必要条件はTheorem 2.6(Rockafellar 1970)の内容を加算個に拡張したものであるため、数学的帰納法で証明する。十分条件は、凸結合であることからTheorem 2.2(Rockafellar 1970)を用いる。
証明
($\Rightarrow$)
$K$ を凸錐とし、$x_1, \cdots, x_n \in K$とする。
1. $n = 2$のとき
Theorem 2.6(Rockafellar 1970)より成立する。
2. $n = k$のとき
成立すると仮定する。
3. $n = k+1$のとき
$\lambda_1, \cdots, \lambda_{k+1} \in \mathbb{R}_{++}$に対して $\Sigma_{i=1}^{k} \lambda_i x_i + \lambda_{k+1} x_{k+1}$を考える。仮定より$\Sigma_{i=1}^{k} \lambda_i x_i \in K$で、$K$が凸錐より$\lambda_{k+1} x_{k+1} \in K$となる。このときTheorem 2.6(Rockafellar 1970)より、 $\Sigma_{i=1}^{k} \lambda_i x_i + \lambda_{k+1} x_{k+1} \in K$となり、$n = k+1$のときも成立する。
よって、全ての$n$に対して($\Rightarrow$)が成立する。
($\Leftarrow$)
$K \subset \mathbb{R}^{n}$に対して、Theorem 2.2(Rockafellar 1970)より正の線形結合$\lbrace \Sigma_{i=1}^{n} \lambda_i x_i \mid \lambda_1, \cdots, \lambda_{n} \in \mathbb{R}_{++}, \quad \Sigma_{i=1}^{n} \lambda_i = 1, \quad x_1, \cdots, x_n \in K \rbrace$は凸集合となる。また$\lambda_1 x_1$
も正の結合であるため、正のスカラー倍について演算が閉じていることから錐である。よって$K$は凸錐である。
したがって題意は示された。
参考文献
Tyrrell Rockafellar, R, 1970 p14